補乳食の必要性

はじめに:必須栄養素とは


三大栄養素と言われる「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」のうち、必須栄養素は「脂質」と「たんぱく質」です。なぜ炭水化物は必須栄養素ではないのかというと、体内で作ることができるからです。

 

この他にビタミン(A,E,D,E,K,B群、Cなど)、ミネラル(鉄、亜鉛、銅など)を必須栄養素として摂取する必要があります。このうちのどれが欠けても健康を維持するのは難しくなります。それは、これらの栄養素がお互いに助けあって働くからです。


補乳食の必要性


生後すぐから5ヶ月までの赤ちゃんは、自分でそこら中を動き回ることができません。ですので、それまでは必要エネルギーも母乳で十分まかなえます。

 

しかし、生後6ヶ月を過ぎると、母乳の栄養だけでは不足するエネルギーや必須栄養素が増えてきます。補乳食は、母乳から供給される栄養量と赤ちゃんの栄養必要量との「差」を満たすために必要となります。

 

もし、ここで母乳だけに頼ってしまうと、成長が遅くなるばかりでなく、貧血からくる知能障害などのリスクが高まります。

 

乳児の栄養状態は、妊娠前の母親の栄養状態に大きく影響を受けます。もともと栄養状態が良好な女性は日本ではほぼいませんから、食物アレルギーを避けたいがために補乳食を遅らせることはやめたほうが良いでしょう。

 

それは意味がないばかりか、赤ちゃんの将来にとってあまりにも不利益になるかもしれません。

 

 

 

こちらはエネルギー必要量と母乳から得られる差を表したグラフです。

 

生後6ヶ月を過ぎたあたりから母乳のエネルギーだけでは不足してくるのがお分かりでしょうか。9ヶ月を過ぎると、なんと必要エネルギーの半分になってしまします。


不足したまま母乳のみで育てば、体重が十分に増えない、発達が遅れる、などの問題が出てきてしまいます。不足する栄養はエネルギーだけではありません。

 

次は鉄について見てみましょう。

赤ちゃんは生まれてくるまでに、母体から鉄分を十分に吸収し「貯蔵鉄」というかたちで鉄を確保しています。もともと母乳には鉄が少なく全期間を通しておよそ0.18mgしか含まれていません。

 

赤ちゃんは生後6ヶ月を過ぎると貯蔵鉄が枯渇します。そのため生後6ヶ月以降は、鉄の必要量との差を埋めるだけの十分な鉄を含んだ補乳食が必要になります。この差が埋められなかった場合、子どもは貧血になります。

 

この差は6〜12ヶ月が最も大きく、この時期に最も貧血のリスクが高まります。

 

母親が妊娠前に鉄不足(貧血と言われていなくても)だと、乳児の鉄が枯渇するのはもっと早いかもしれません。

 

 

乳児の鉄欠乏が認知障害の要因?


厚生労働省が1995年に発表した『離乳の基本』において、鉄欠乏と乳児の精神運動発達遅延の関連が明記されました。

Hb(ヘモグロビン)濃度10.5g/dL以下が3ヶ月以上続くと精神および運動発達が阻害されるとのことです。

また、2014年のイリノイ大学の研究報告では生後6〜12ヶ月に鉄の摂取が不足すると空間認識能力、学習能力、記憶力などの認知機能が不可逆的に(改善しない)障害されるリスクが高まると発表しました。



その他の不足する栄養素


鉄と同様に母乳だけでは不足する栄養素があります。

エネルギーは体温を維持したり、身体を動かす元となります。エネルギーは「炭水化物」「脂質」「たんぱく質」から得る事ができますが、もっとも効率のよいエネルギー源は「脂質」です。

 

「脂質は太る」と思われがちですが、それは間違いです。

脂質は細胞膜の原料になります。脳の半分は脂肪でできています。

脂質が不足すると脳機能障害になることもあります。

赤ちゃんにも良質な脂質を与えましょう。

 

必須脂肪酸と呼ばれるアラキドン酸(ω6系)、EPA(ω3系)のうち、アラキドン酸はサラダ油やキャノーラ油、などの植物油から摂取することが可能です。しかし、アラキドン酸は近年摂取量が増え、そのことが炎症によるアトピー性皮膚炎などの原因となっています。

現代人は積極的にEPAを多く含む魚油を摂取する必要があります。

 

発酵タラ肝油は安全に良質のEPAを摂取すことができます。

こちらのページで購入することが出来ます。

 

 

たんぱく質は身体のほぼすべての材料になります。たんぱく質はアミノ酸という物質がいくつもくっついて作られています。

アミノ酸には必須アミノ酸と言われるものがあり、これらは体内で作ることができません。

必須アミノ酸はどれが欠けても十分に働くことはできません。

必須アミノ酸が豊富に含まれているのが、肉、卵です。

 

 

ビタミンAは皮膚や粘膜を保護したり、免疫力を高め、視力を正常に維持する作用があります。

ビタミンAは緑黄色野菜などのβカロテンを多く含む食材を摂っていれば良いと考えられていましたが、βカロテンからビタミンAを合成するの力が弱い人がいることが明らかになりました。

ビタミンAの不足を避けるには動物性食品のレバー、卵をしっかり摂ったほうが良いでしょう。

 

 

乳幼児のくる病


また、近年問題になっているのはビタミンD不足による「くる病」が乳児の間で発生していることです。ビタミンDは骨を作るためのミネラルの吸収を助け、腸においてカルシウムが作られるのを助ける働きがあります。


このため、カルシウムが足りていても、ビタミンDが不足するとくる病(背骨や四肢の骨が変形する)や骨軟化症(骨がもろくなる)が発症しやすくなります。


さらに、免疫をコントロールする働きがあるため、不足すると免疫力低下、花粉症、アレルギー、ぜんそくなどを引き起こします。インフルエンザの予防効果はワクチン以上であるとも言われています。

 

補乳食で摂取するとともに、手足に日光が当たるように日光浴を適宜行う必要があります。

ビタミンDを多く含む食材は、マグロ、バター、牛レバー、卵黄、魚油(発酵タラ肝油)です。

 

 

 

不足する栄養素を補う食品


必要量と母乳600mlから得られる栄養素の差

必要量と母乳800mlから得られる栄養素の差


上のグラフは6−11ヶ月女児に必要な栄養素と母乳600mlから得られる栄養素および母乳800mlから得られる栄養素の差を表したグラフです。

必要な栄養素は厚生労働省の栄養摂取基準2015年版を参考にしました。

母乳の栄養素はUSDA栄養データベースを参考にしました。

(ヨウ素、クロム、モリブデンについては情報が欠けています)


必要量の50%前後の栄養素はビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12,葉酸、パントテン酸、ビオチン、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、リン、鉄、亜鉛、マンガン、たんぱく質です。

(6−11ヶ月女児、母乳量600mlとしたとき)


下の表はこれらの不足する栄養素のはたらきと、多く含む食材です。

 

動物性の食品に多くの栄養素が含まれていることがわかります。

とくに、レバー、卵黄、肉、しらす、魚卵、海藻類など手に入りやすい食材には母乳に不足する栄養素が多く含まれています。

これらの食品を補乳食として与えることで、赤ちゃんの成長・発達・健康を促していくことができます。

また、一般的には出回りませんが鹿肉は非常に栄養が豊富です。

 

 

 

 

タンパク質は牛肉の倍、鉄も牛肉の倍、その他亜鉛と銅が豊富なのも特筆すべき点です。

鹿肉は臭みが少なく食べやすいので、よく煮込めば補乳食にも最適です。

ジビエショップにてお求めいただけます。

 

 

フォローアップミルクやサプリメントなどを使わなくても、手軽に栄養を摂取することが可能です。ぜひ、お家で手軽に作れる補乳食を赤ちゃんに食べさせてあげてください。