産後うつと栄養

産後うつとは


お産の2~3週間後から始まって、最低でも1カ月間、長いと1~2年と年間単位で起こり、日常生活の中で今までできていたことができなくなるなどのうつの症状や、食欲がわかないなど身体症状が出てくるのが特徴です。

 

また、一過性のマタニティブルーと違い、産後うつは心の病気のひとつなので、深刻になる前に対処することが大切です。

産後うつの代表的な症状


  • 家事がうまくできなくなる
  • 考えがまとまらなくなる
  • 些細なことが気になる
  • 育児にひどく疲れる
  • 夫への言動に怒り、不満を感じ会話が成立しない
  • よく眠れない
  • 朝起きられない
  • 食欲がわかない

など

産後うつの原因


産後、女性はホルモンのバランスが急激に変化し、一過性に精神的に不安定になりやすくなります。しかし、2週間もすると徐々に安定してきますが、その後もうつ症状が改善しない場合、他の原因が考えられます。

1.鉄不足


女性は月経により鉄分が定期的に排泄されてしまいます。15〜50歳の女性のなんと80%は鉄不足と言われています。この場合貧血の有無は関係ありません。

鉄不足により以下の症状がみられます。

 

  • いらいらしやすい、集中力低下
  • 神経過敏、些細なことが気になる
  • 立ちくらみ、めまい、耳鳴り
  • 偏頭痛
  • 疲れ、節々の痛み(関節、、筋肉)、腰痛
  • 喉の違和感(喉が詰まる)
  • 冷え性
  • 朝なかなか起きられない
  • 出血(アザ)
  • コラーゲン劣化(肌、髪、爪、シミ)、ニキビ、肌荒れ
  • 不妊
  • レストレスレッグス症候群(むずむず足症候群、RLS)
  • 氷を食べる
  • 土を食べる


 

鉄には貯蔵鉄、組織鉄、血清鉄の3種類があります。

赤血球に含まれる鉄分が少なくなる貧血が起きるまで、それぞれの鉄が減少、消失していきます。

貯蔵鉄は血清フェリチンという検査データを測定することにより判断できます。

 

一回の妊娠・出産により女性はフェリチンが50ng/ml減少するといわれています。

もともと鉄欠乏になりやすい女性ですが、産後は母乳から乳児へ鉄が移行するため、さらに鉄欠乏に陥りやすくなります。

 

産後は特に鉄分の摂取を積極的に行う必要があります。

 

 

【鉄分の摂取方法】

動物性食品に含まれる鉄分(ヘム鉄)は植物性(非ヘム鉄)より5倍から10倍吸収率が良いので、積極的に肉やレバー、アサリなどの貝類を食べましょう。

また、ヘム鉄サプリメントで補うことも大切です。 

 

 

2.たんぱく質不足

 

気分を左右する神経伝達物質のうち、リラックスや心の安定を促す「セロトニン」というホルモンはたんぱく質がもとになり、各種ミネラルやビタミンを使いながら合成されます。


女性の場合たんぱく質が不足している場合が多く、さらに産後では身体の修復や母乳にたんぱく質を必要とするため、容易にたんぱく質不足になりやすくなります。


また、セロトニンの不足が睡眠を促す「メラトニン」というホルモンも不足させてしまうため、うつ症状と不眠が重なることも問題となります。



妊娠中から産後の女性が一日に摂取すべきたんぱく質の量は体重の1.5倍と言われています。


これは、体重50kgの人の場合、卵に換算すると10個以上、肉では500g以上食べなければ摂取することができません。


これだけのたんぱく質の量を摂取できている人はあまりいないため、実際にたんぱく質不足の女性は非常に多いようです。


たんぱく質不足かどうかは採血検査(BUN<10)によりわかりますが、日頃から積極的にたんぱく質を摂る努力をしましょう。


また、植物性のたんぱく質は吸収率が悪いため、なるべく動物性たんぱく質である肉・魚・卵・乳製品などを組み合わせて摂取しましょう。

3.DHA不足

DHA(ドコサヘキサエン酸)は魚の油に豊富に含まれている脂質です。

また、必須脂肪酸であるオメガ3系のαーリノレン酸を摂取することで一部がDHAに合成されます。しかし、非常に少量なので、実際には魚を摂取することがDHA摂取の一番効率のよい摂り方になります。


実際、アメリカのジョセフ・ヒベルン博士による世界26か国を対象にした調査ではその国の魚の消費量と他殺件数には逆相関の関係があり、魚を食べない国ほど殺人が多いという結果がでたそうです。


 

DHAはリラックスや心の安定を促す脳内セロトニンの分泌を促すとされています。

 DHAの血中濃度が低い人はストレスを受けることでキレやすくなったり攻撃的になることもわかっています。


DHAは乳児の脳の発達にとっても非常に重要な栄養素であるため、母乳を介して乳児に移行します。

そのため、ママはDHAが不足しやすく、育児疲れや不眠がさらに辛くなってしまいます。


日本人はもともと魚をよく食べる民族ですが、近年は魚離れが進んでいること、魚に含まれる水銀やダイオキシン、残留放射能のリスクなどから避けている人もいるため摂取量は年々減り続けています。





授乳をされている場合はさらに心配をされている方も多いですが、DHAは乳児の脳の発達に重要なので、できればしっかり摂取したいところ。


これを解決する方法として

  • オメガ6系の脂質であるサラダ油やキャノーラ油、マーガリン、ドレッシングなどの植物油を控えることで魚の摂取量を極端に増やさなくてもDHAが脳や他の組織に届きやすくなる
  • 発酵タラ肝油にはDHAが豊富に含まれており、重金属や環境ホルモンなどの各種検査パスした良質なものだけを取り扱っているため、安心してDHAが摂取できる

を取り入れてみましょう。


 

すでに産後うつの症状が出ている場合には栄養不足が深刻となっている恐れがあります。

栄養療法を行っている医療機関に受診することをお勧めします。

 

栄養療法を行っている医療機関一覧