ビタミンAと奇形の関係

ビタミンAは胎児の奇形リスクを減らす


妊娠をすると、何を食べてよく、何を食べてはいけないかについて敏感になります。

ビタミンAの摂取について、インターネットや雑誌など様々な媒体で「ビタミンAは胎児の奇形リスクがあるので避けるべき」と書かれています。

 

しかし、実は真逆だということをご存知ですか?

 

ビタミンAは胎児の奇形リスクを減らします

 

なぜこのような間違いが起こってしまったのでしょうか。

 


催奇形性のビタミンAは「レチノイン酸」


ビタミンAは体内に入ると「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」という3つの活性型で存在します。そして、レバーやうなぎなど、天然に存在するビタミンAはほとんどレチノールです。

 

一方、サプリメントや加工食品に添加されたビタミンAは「レチノイン酸」であることが多いです。

 

「レチノール」「レチナール」「レチノイン酸」は体内で相互に変換が可能ですが、レチノイン酸からレチノールには変換できません。そのため、体内でレチノイン酸ばかりが溜まってしまい、催奇形性が認められるようになります。

 

「ビタミンAが胎児の奇形リスクになる」と発表した研究(1)は、どの活性型のビタミンAを摂取したことで起きた奇形だったかについて明確にしていませんでした。

また、もう一つの研究(2)はレチノイン酸のサプリメントの投与による催奇形性を報告していました。

これらの研究をきっかけに、妊娠前のビタミンAの摂取を控えるよう、医者が妊婦に指導するようになりました。

 

レバーやうなぎなどの食品のビタミンAはレチノールなので、過剰摂取による催奇形性の心配はなく、むしろ奇形リスクを減らすことも報告されています。

むしろ、深刻なのはビタミンAの過剰摂取よりもビタミンAの欠乏によって起こる各種奇形や発育障害です。 


(1) Rothman KJ and others. Teratogenicity of high vitamin A in-take. N Engl J Med.1995;333:1369-73.

(2)Godfrey P and others. Bitamin A and Birth Defects-Continuing Caution Is Needed. N Engl J Med 1995;333:1414-1415.

安全なビタミンA摂取の許容量


では、ビタミンA(レチノール)はどの程度摂取してよいのでしょうか。

日本の厚生労働省では妊婦のビタミンA摂取量は、上限許容量が5000 IUとされています。


そこで、海外の文献をみてみましょう。


ビタミンAを摂取しない場合、ビタミンAの摂取が20,000〜40,000IUのと比べて奇形児は2倍だったという研究論文があります(3)。

 

また、ビタミンAを少なくとも10,000IU付加した場合、摂取しなかった場合と比べて奇形児が少なかったという研究論文もあります(4)。

 

さらにある論文では、10,000から300,000IUのビタミンAを摂取した妊娠初期の母親グループと、ビタミンAを付加していない同規模の母親グループにおいて、摂取の増加による奇形のリスクの増加の証拠は見つかりませんでした。付加したグループはしなかったグループに比べて50%も奇形のリスクが少なく、50,000IU以上摂取した母親からは奇形児は産まれませんでした(5)。

 

このように、エビデンス(根拠)の明らかな研究において、ビタミンAを20,000IU以上摂取することは安全であり、奇形のリスクを減らすことを証明しています。

 

(3)Martinez-Frias ML and Salvador J. Epidemiological aspects of pregnatal exposure to high dose of vitamin A in Spain. Eur J Epidemiol. 1990;6(2):118-123.

(4) Shaw GM and others. High maternal vitamin A intake and risk of anomalies of structures with a cranial neural crest cell contribution. Lancet. 1996;347:899-900.

(5) Mastroiacove P and others. High vitamin A intake in early pregnancy and mafor malformations: a multicenter prospective controlled study. Teratology. 1999;59(1):7-11.

ビタミンAの役割


では、ビタミンAは胎児の発育にどのような役割を果たすのでしょうか。


神経・骨格形成

ビタミンAは骨や神経系の分化や骨格形成などに深く関わっています。

妊娠1〜2ヶ月の頃、胎児は活発に細胞分裂を繰り返しており、この時期にビタミンAが欠乏すると赤ちゃんの成長に影響が出やすくなり、奇形や歯並びが悪くなったり顎が細くなるなどの骨格の問題を抱えると言われています(ウエストン・A・プライス著 食生活と身体の退化)。

また、粘膜が弱くなって感染症にかかりやすいという報告もあります。

 

 

天然のビタミンAには催奇形性はありません。無投薬(抗生剤・ホルモン剤不使用)のレバーや発酵タラ肝油は文明以前の古くから先住民が摂取しており、安全性が実証されています。積極的に摂取しましょう。

 

参考: 

The Nourishing Traditions Book of Baby & Child Care(Sally Fallon Morell )

食生活の身体の退化(W・A・プライス )

歯医者が虫歯を作ってる(長尾周格 三五館)